05.双子の兄妹を抱く双子の兄妹



 「Chocolate Time」シリーズをスタートさせた当時は考えもしなかった、ケンジとマユミがおじいちゃん、おばあちゃんになった図。

 当初は、双子の兄妹が禁断の関係になるって萌えるよなー、というノリでした。思春期になって、今までずっと身近にいた異性に惹かれる、という設定ではありましたが、「どうして兄じゃなきゃいけないか」「妹である必要があるのか」といった確固たる動機が、ケンジにもマユミにも今ひとつはっきりしていなかったようにも思えます(その後、二人が惹かれ合うきっかけや動機をより丁寧に描きたくて、エピソード1は大改訂を施し発表しました。現在の第1作『Chocolate Time』は、この大改訂版です)。

 一つ確実に言えるのは、エピソードを重ねていくにつれて、このシリーズ、次第に現実味を帯びてきたということです。言い換えれば「ありがち」な出来事が多くなっていった。それは、ケンジやマユミ、ケネス(→ケネスのプロフィール)が単なる小説の中だけの架空の人物ではなく、一人の人格を持った現実の人になっていった、という意識が僕の中に働き始めたからに他なりません。こういう場面だとマユミはこう言う、とか、この状況ではケネスはこう動く、といった「個性」が、次第に強くなっていったというわけです。

 「双子の兄妹の恋物語」、と銘打っている以上、エピソードの全てにそのことを意識したい。シリーズ全体に一本の幹を貫いていたい、という僕の意志は、当然ずっとありました。第二期にまで発展したこのシリーズは、真雪と健太郎という異父双生児の誕生によって、かなり大きく広がりました。ケンジとマユミで兄妹相姦の世界を一度描いていますから、健太郎たちには別の恋物語を準備しなければなりませんでしたが、結果的にそれによってずいぶんとバラエティに富んだ逸話を考え出すことができたと思っています。

 孫を抱くケンジとマユミ。彼らの成長をずっと見守ってきた僕にとっても、新たな双子の誕生はまた新しい創造の芽を与えてくれそうです。

《基礎知識》

海棠兄妹

異父二卵性双生児

 

《プロフィール》

海棠 ケンジ

シンプソン・マユミ


《高校時代のケンジとマユミ》