この原稿を書いている2月23日を、勝手に「双子の兄さん」の日と名づけます(笑)。
さて、僕の『Chocolate Time』シリーズは、双子の兄妹がメインになって進みます。
初代双子の兄妹はご存じ海棠家のケンジとマユミの二人(テーブル一番奥)。二代目がシンプソン健太郎、真雪兄妹(テーブル手前から二人目)。そして三代目は海棠健吾、真唯兄妹(テーブル一番手前)です。
この画の健吾、真唯を4歳とすると、健太郎、真雪は二人とも29歳、ケンジ、マユミ兄妹は49歳ということになります。
言うまでもなく、双子というのは二人分の受精卵が母親の子宮内で同時に育って産まれます。一つの卵子に二つの精子が交わって、分化の過程で二つの胎児になっていくのが「一卵性双生児」、二つの卵子に一つずつの精子が飛び込んで、始めから二つの受精卵として育つのが「二卵性双生児」。実はこの3組は全て「二卵性」です。
ただ、健太郎と真雪の兄妹は、ちょっと特殊で、マユミの体内で作られた二つの卵子に飛び込んだ精子は、それぞれ別人のモノ。真雪のモトになったのはマユミの夫ケネス・シンプソンの精子ですが、健太郎を作ったのは奥にいる二人、マユミとケンジです。つまり、初代の双子の兄妹の禁断の愛し合いによって産まれた子どもなのです(「異父二卵性双生児」と言います)。
実際にこんなことになったら、法的な問題やら、相続のトラブルやらがあるのでしょうが、そこはフィクションとして受け流して下さい。
健太郎は、多感な16歳の時に、自分の本当の父親がケネスではなくケンジだということを知らされます。でも、彼はケネスやマユミを恨むことはなく、逆に「ほっとした」とその秘密を打ち明けたミカに言います。健太郎はそれまでもケンジには水泳の指導を受けていて、何となくではありましたが、この男性が自分にとって特別な人のような、単なる伯父さんという間柄ではないような感じがしていた、と言います(本編エピソード6『Macadamia Nuts Chocolate Time』)。
実際、ケンジとケネスは高校時代からずっと親友同士ですから、健太郎も二人の父親を比較してどっち、という感情にはならなかったのでしょうね。ケンジはこのことに対して多かれ少なかれ負い目を持っていました(本編エピソード7『Milk Chocolate Time』)が、幸いケネスも、健太郎も、ケンジを責める気持ちを持ってはいませんでした。
というわけで、2月23日は双子の兄さんの日。真雪は親愛なる健太郎に花を贈って、日頃の感謝の気持ちを伝えます。
「ケン兄、いつもありがとうね」
「何だよ、マユ、いきなり……」
「今日は『双子の兄さんの日』だから、いつもなら言えないこと、言ってみたんだ」
「照れるだろ」
健太郎は少し赤くなって頭を掻いた。
「健吾や真唯も可愛がってくれてるしね」
「最近特に二人ともかわいさが倍増したよな」
「ありがと」
真雪はにっこり微笑んだ。
ケンジ、マユミ兄妹も、健太郎、真雪の二人も、そして健吾、真唯の双子も、お互いのことを「ケン兄」「マユ」と呼び合います。
……ところで、なんでこの兄妹、二人とも何も着てないの?健太郎の恋人春菜や真雪の最愛のパートナー龍にこんなとこ見られたら大変なことになるんじゃ?
大丈夫。画を見る限り健太郎は平静です(笑)。
『Chocolate Time』の第1期では、初代双子のケンジとマユミは熱く、激しく愛し合いましたが、二代目のこの二人はノーマルにそれぞれ別の恋人と一緒になりました。小学生の間までは、一つのベッドに手を繋いで眠っていた健太郎、真雪兄妹ですが、お互いに恋愛感情を持つことはありませんでした。純粋にきょうだいに対する親愛の念だけを抱きながら成長したのです。
あ、一度だけ、本編の中で健太郎と真雪は熱く愛し合いましたね。健太郎の夢の中ででしたけど(本編エピソード9『Almond Chocolate time』)。
男女二人がハダカでいても、いつもセックスに発展するというわけではない、ということを、画で主張したかった、ということにしときましょう。
2014,2,23
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