第1話 わくわくパートナー交換 page 1 / page 2 / page 3 / page 4 / page 5 / page 6


《ドラマが始まる》

 

 丘の上に建っている、こぎれいなイタリアンレストラン。海の見える広い窓際の白いテーブルに、夏輝と修平、向かい合って龍と真雪が座っていた。

 

 修平が水の入ったグラスを口に持っていきながら感慨深げに言った。「お、俺たちももう30。歳くったな」

「まだまだ現役だよ、しゅうちゃん」修平の向かいに座った真雪が微笑みながら言った。

「そ」夏輝が言った。「あたしたち、今が女盛りってとこだからね」

「確かに夏輝さんはすっごく色っぽくなったよね、この頃とみに」

「龍くんこそ、口が上手になったじゃない」夏輝は笑った。

「りゅ、龍は26だろ? でも、それよりもずいぶん若く見えるな。ま、まだ十代でも通用するんじゃね?」

 真雪が怪訝な顔で修平を見た。「なに、しゅうちゃん、どうしたの? 何か緊張してない? 今日はずっと……。言葉がぎこちないよ」

「そ、そうかな……」

 

 ウェイターによって赤ワインのボトルが運ばれてきた。そして四人の前にグラスが並べられた。

 テイスティングをした後龍が言った。「僕がやるよ」そしてボトルをウェイターから受け取ると、四つのグラスに手際よくつぎ分けた。

 

「食事の前に、言っちゃうよ、」夏輝が修平の顔を覗き込んで言った。「あのこと」

 修平はにわかにそわそわし始めた。「や、やっぱメシ食ったら帰ろうか、夏輝」

「なにびくついてんの?」

「なに? どうしたの?」真雪が屈託のない表情で言った。

「ほんとにいつもの修平さんらしくないね」龍が言った。「今日はみんなの初体験13周年記念のディナーなんでしょ? いつもみたいに楽しもうよ、修平さん」

「おめでたいよね。あれから夏輝たちも、あたしたちもずっと続いているってことだもん」

「そ、そうだな……」

「乾杯しようよ」龍がワイングラスを手に取った。残りの三人もそれに倣った。

「これからもずっと幸せでいられることを祈念して、乾杯っ!」

 

 

 サラダを早々に食べ尽くした修平が言った。「龍は、サラダ食うのに時間掛けるのな」

「そりゃそうだよ」夏輝が言った。「ディナーのサラダはセックスのおっぱいだ、って一緒にハワイにハネムーンで行った時真雪が言ってたでしょ。龍くんの持論だって」

 

「なるほど。だからか」修平は少し赤くなってスープの器を手前に引き寄せ、ペールオレンジ色をしたコーンポタージュにスプーンを浸した。

 

「ねえねえ、ほんとにどうしたの?」真雪が両手でほおづえをついたまま言った。「しゅうちゃん、変だよ、今日は。いつもの勢いがないよ」

「しょうがない」夏輝だった。「今日、この後、」

「お、おい、夏輝っ!」修平は慌てて夏輝の言葉を遮った。

「何よっ!」

「やっぱ、やめとこうぜ、まずいよ。こんなこと……」

「何怖じ気づいてんの? 元々あんたの願望なんだから」

「そ、そりゃそうだけどよ……」

「断られたら諦めればいいじゃない。言うだけ言ってみようよ」

「言って」真雪が微笑みながら言った。

「俺も、聞きたい」サラダをようやく食べ終わった龍も微笑んだ。

 

 修平は夏輝の横で縮こまって顔を赤く染めていた。

 

 夏輝が龍と真雪を交互に見ながら言った。「この後さ、ホテルで夫婦交換、やってみない?」

「えっ?!」真雪も龍も顔をこわばらせた。

「ほっ、ほらみろっ!」修平はますます身を縮めて言った。「言わんこっちゃない! ふ、二人とも、思いっきり引いてるじゃねえかっ!」

 

「しゅうちゃん、抱いてくれるの?」真雪は目を輝かせた。

 龍も身を乗り出した。「な、夏輝さんを抱いてもいいの?」

 

「へ?」修平はぽかんと口を開けて、その予想外の反応をする二人を見た。

 盛夏の日暮れは遅く、まだほんのりと西の空はすみれ色に色づいたままだった。

 

 郊外の真新しい風情のラブホテル。その最上階の一番広い部屋は、宿泊で8000円もした。

「た、高えな……」タクシーを降りた修平が小さく呟いた。

「二組で割り勘だから安いもんだよ」真雪が楽しそうに言った。

 ホテルを取り巻く楠の林では、まだ蝉がけたたましく鳴いていた。

 

 

「おお! 本当に広いね」最初にドアを開けた夏輝が言った。

「うん。このくらい大きなベッドだと大丈夫だね」真雪も言った。

 

 広々とした部屋のど真ん中にどでかいベッド。四人の大人が横になっても十分な広さだった。内装は深いブルーで統一され、外の暑さを忘れさせるような涼しげな雰囲気だった。

 

 真雪はベッドの端に腰を下ろした。「元々三人以上で愛し合うための部屋なのかもね」

「ふ、二組同時にエッチやんのか? ここで」修平が少しおどおどした様子で言った。

「どうする? しゅうちゃんとあたし、龍と夏輝、どっちかが先にやる?」

「同時進行がいいよ」龍が言った。

「同時進行?」

「うん。その方がお互い様で罪悪感もあまり感じないだろうし、それぞれを見ながらって、興奮していい刺激になるって思わない?」

「それもそうだね」夏輝がバッグをソファに置いて言った。「じゃあ、とりあえずシャワーにしようか」

「シャワーの段階から交換する?」真雪が言った。

 

「やめといた方がいいよ、真雪」夏輝が真雪を上目遣いで見ながら指を立てた。「修平といっしょにシャワーだけはやめといた方がいい」

「なんで?」

「こいつ、シャワーの時点で、すでに我慢できなくなるから。あんたお風呂で修平にいきなりレイプされたくないでしょ」

「レ、レイプなんかしねえよ!」修平が大声で否定した。

 夏輝が修平を呆れたように横目で見た。「あれ、100パーセントレイプじゃん。あたしが相手だからそう思ってないだけだよ」

 真雪は引きつった笑いを浮かべた。「そ、そうなんだ……」

 

 

 夏輝と修平がバスルームに入っていくのを真雪と龍は手を振って見送った。

 バスルームのドアが閉められる音がした直後、夏輝の叫び声が聞こえた。「こ、こら! まだだめだって言ってるだろ! 修平っ!」

「夏輝っ! 夏輝っ!」

「あんた真雪をこのあと抱くんだろ? そのエネルギーを温存しときなって!」

「お、俺、おまえの脚見てっと、」

 バシッ!

 

 何かをひっぱたく鋭い音が聞こえた。

 

「しゅうちゃん……」真雪が小さく呟いた。

 龍も伏し目がちに言った。「あの夫婦、風呂に入る度に、いつもこんなことやってるのかな……」

 

 

 バスルームから出てきた夏輝は白いローブを羽織っていた。その後から出てきた修平は水色のローライズのフィットボクサーパンツだけの格好だった。うつむいた彼の左頬に、夏輝の手形が赤くくっきりとついていた。

「ごめん、聞こえた?」夏輝がばつが悪そうに言った。

「う、うん。ちょっとだけ……」

「言ったでしょ? こんなのといっしょにシャワーに入るもんじゃないって」

 

 

 修平たちに続いてシャワーを済ませた龍と真雪は、メインルームに戻り、二人並んでベッド端に腰掛けた。

 ソファでビールを飲んでいた夏輝と修平は立ち上がり、龍と真雪にも缶ビールを手渡した。

「ありがとう」龍が言った。「わあ! キンキンに冷えてる」

 

「でもよ、」修平が口を開いた。「真雪も龍も抵抗ないのか? パートナー交換して繋がるの」

「相手によるよ、もちろん」真雪が言った。

 龍もビールの缶から口を離した。「それに、俺たち初めてじゃないし」

「え? そ、そうなのか?」修平がびっくりしたように目を見開いた。

「そうなんだってね」夏輝が言った。「何でもケンジさん夫婦とスワッピングしたらしいね」

「マジかよっ!」修平は思わず立ち上がった。「じゃ、じゃあ、真雪、ケンジさんと、そ、そのエッチしたってのか?」

「そうだよ」

「りゅ、龍はミカさんと?」

「うん」

 修平はますます早口で叫んだ。「な、なにさらっと言ってやんだ。お、お、おまえら親子じゃねえか!」

「どうだった?」夏輝が修平の腕を取ってソファに座らせながら、にこにこしながら言った。

「父さんは真雪の中にある年上の男性に対する拒絶感を取り除くために抱いてくれたんだ」

「な、なんだよ、それ……」

「二十歳の時の、あの出来事の後遺症っていうか……」真雪が低い声で言った。

 

 

 ――真雪は龍と恋人同士になって二年目の冬、彼女が二十歳の誕生日を迎えて間もなくの頃、当時通っていた専門学校のプログラムの一つ、郊外の水族館での一週間の宿泊実習に参加した。そしてその時、学生たちの研修を担当していた主任の既婚男性と関係を持ってしまったのだった。巧みな言葉で食事に誘われ、二十歳の誕生日を祝うという口実でカクテルを飲まされた真雪は、そのままホテルに連れ込まれてその男に抱かれた。

 

 その出来事は龍にはもちろん真雪の心にも大きな傷となって残り、二人はその後、そのつらさを乗り越えるのに相当なエネルギーを必要としたのだった。もちろん夏輝も修平も二人のことをひどく心配し、友人としてその後のケアにも多くの時間を割いた。

 

「その男にされたことと同じコトを父さんにやってもらって、真雪の心と身体を癒してもらったんだ」

「ううむ……確かにそういうことはケンジさんにしかできねえだろうな……」

「いいなー、ケンジさんに抱かれたんだ、真雪」夏輝がうっとりとした表情で言った。

「もうすごいの」真雪が身を乗り出して言った。「完璧に復活したもん、あたし」

「そうなの?」

「うん。あたし、あの事件から時々あの男に無理矢理中出しされる夢、みて、夜中に飛び起きて龍を何度もびっくりさせたり心配させたりしてたんだけどね、ケンジおじに抱いてもらってからは、もうそんなこと全然ないもん」

「すげえな、ケンジさん」

「思春期の男子並にシャイなのに大胆で積極的。だけど高校生みたいにがっつかないし、ずっとあたしをいたわってくれてた。それに話し方も笑顔も囁きもすっごく余裕でナチュラル。なのに、そういうことされてるうちに、あたし身体がどんどん疼いてきちゃって、自然な流れで繋がった時にはもう雲の上。そして最後は弾けまくって最高に気持ちよくフィニッシュ」

「へえ!」

「カーテンを開けたら一気に眩しい夏の海の風景が広がって、窓を開けたら涼しい風が吹いてくる、みたいな爽快感と開放感」真雪は両手の指を組んでうっとりとしたようにため息をついた。

 夏輝が心底羨ましそうに言った。「やだ、あたしも抱かれたい、ケンジさんに」

 修平が少し呆れたように言った。「わかったよ、夏輝、今度俺が頼んでやるよ、神父尊さんとケンジさんに」

「ほんとに? やった! 楽しみ」

 

「それで、龍、」修平は龍に目を向けた。

 飲みかけたビールの缶を口から離して、龍は修平の視線を受け止めた。「え? なに?」

「おまえ、母親であるミカさんを抱いて、どうだったんだ?」

 龍はぽりぽりと頭を掻いた。「最初はめちゃめちゃ抵抗があった」

「だろうな。無理もねえよ」

「恥ずかしいやら気まずいやら申し訳ないやら……」

「じゃあなんでそんなことになっちまったんだ?」

「だって、父さんが真雪を抱く条件は、俺と母さんがベッドを共にすることだ、って勝手に決めちゃって」龍は赤くなってうつむいた。

「なるほど。それが筋だな」

「それにケンジさんらしいね」

「で、龍、おまえちゃんとミカさんを満足させたのか?」

「ど、どうにかね」

 真雪がにこにこ笑いながら言った。「若い頃のケンジ伯父とのベッドタイムを思い出して、とっても燃えた、ってミカさん言ってた」

「そうか。龍はケンジさんにそっくりだからな」修平は笑った。

 

「だから心配しないで、しゅうちゃん。あたしたち、こうしてあなたたちと交換プレイすることに抵抗ないから」

「って言うか、俺、夏輝さんを抱くの、すっごい楽しみなんだけど」

「あたしも。やんちゃなしゅうちゃんに抱かれるの、新鮮」

 夏輝も修平もそろって頭を掻いた。

 

 

「それじゃ、打ち合わせ」真雪が言った。

「そうだね。まず、禁止事項からいこうか」夏輝が言った。「そっちからいいよ」

「わかった」真雪が言った。「しゅうちゃん、ゴム着用でお願いね。挿入はOKだよ」

「うん。持って来た」修平が正方形の小さなプラスチックの包みを見せて、かしこまって、少し震える声で言った。「い、入れさせてくれんのか? 真雪」

 真雪はにっこり笑った。「うん。大丈夫。後はべつに禁止事項なし。極端な変態行為はしないでしょ?」

「あ、ああ。わ、わりとオーソドックス……だな」

「嘘つけ」夏輝が言った。

「な、何だよ」

「修平、あれ、やってもらいたいんだろ?」

「『あれ』?」龍がビールの缶から口を離して言った。「なに? 『あれ』って」

「こいつ、手足を縛られてイきたいらしいよ、今日」

「えっ?!」真雪が口を押さえた。「しゅうちゃん、そんなシュミがあったの?」

「ロ、ロープ、持って来たから、それで……」修平は顔を赤くして言った。「やってもらえっか? 真雪」

「い、いいけど……。じゃあ、フィニッシュはあたしが上だね」

「うん」

「意外! 修平さん、日頃は突っ張ってるのに、こういう時はM傾向なんだね」龍が言った。

「両極端なんだよ、こいつ」夏輝が呆れたように言った。「あたしをねじ伏せて、無理矢理ぶち込んでイくこともあれば、そんな風に拘束されてイきたがることもある。両極端っていうか、中間がないヤツなんだ」

「楽しそうだね」龍はビールを一口飲んだ。「夏輝さんはどっちが好きなの?」

「どっちも慣れた」夏輝は笑った。「っていうか、どっちも燃える」

「さすがだね、夏輝」真雪もビールの缶に口をつけた。

 

「罪滅ぼしっつーか……」修平が申し訳なさそうに眉尻を下げ、うつむいて呟いた。

「え?」真雪が言った。「なに、なにか理由があるの? しゅうちゃん」

「お、俺さ、こないだから夢ン中でおまえを、その、半分レイプしちまったんだ」

「夢で?」

 夏輝が険しい顔をして横から言った。「そうなんだよ、聞いてよ、もう、こいつったら、夢の中で嫌がるあんたに中出ししたり無理矢理口の中に出したりして犯しまくってたんだよ」

「そうなんだー」真雪はおかしそうに言った。

「真雪に乱暴してみたいって、思ってるの? 修平さん」龍が言った。

 修平は慌てて顔を上げ、大声を出した。「とっ、とんでもねえ! 俺そんなこと全然考えてねえよ」

「こいつの夢、時々暴走するんだよねー」夏輝がため息交じりに言って、修平が履いていたボクサーパンツのゴムを引っ張ってパチンと弾いた。

「だから、俺、その罪滅ぼしで真雪にレイプされてえんだよ」

「あははは、そんな乱暴しないよ」真雪が言った。「それで縛られたいってわけね?」

 修平はコクンとうなずいた。

 

「じゃあ、夏輝さん、禁止事項なんかを」龍が言った。

「禁止事項って言うより、やってもらいたいことなんだけど、」

 龍は夏輝を見てうなずいた。

「話によるとさ、龍くん、とてつもなくいっぱい出すんだって?」

 龍は赤面した。「と、とてつもなく、ってほどじゃ……」

「真雪が前に言ってたよ。もう、勢いも、量も、反射回数もハンパないって。何でもケンジさん譲りだって?」

「そ、そうなのかな……」

「あたしの中にいっぱい出してくれる? ピル常用だから大丈夫」

 

「それはだめ」龍が静かに言った。

 

「え?」

「俺、真雪以外の女の人の中に直接出すのだけは、自分で許せないんだ」龍は目を伏せた。「夏輝さんとこんなことになるなんて思ってなかったってこともあるけど……」

「ごめんね、夏輝」龍の隣に座った真雪が言った。「あたしも龍以外のオトコのものが身体の中に入ってくるなんて、想像したくもない……」そしてうつむいた。

 

 夏輝も修平もしまった、という顔をした。

「ご、ごめん、真雪、龍くん。無神経なこと、言っちゃって……」

「やっぱ、まずいんじゃねえか? こんなことって……」修平が申し訳なさそうに言った。

 

 真雪は顔を上げた。「ううん。こっちこそ、気を遣わせちゃってごめんね。でも大丈夫。しゅうちゃんとエッチすることは全然平気。だって、前からよく知ってる人だし、かっこいいし、優しいし、あたしのことをちゃんといたわってくれそうだもん。そうでしょ?」

「も、もちろん、俺、力一杯優しくする。誓ってもいい」修平は緊張した面持ちで言った。

「しゅうちゃんがどうしても、って言うのなら、ゴムなしでもいいよ。今はたぶん大丈夫」

 修平は慌てて手を顔の前で横に振りながら言った。「い、いや、大丈夫。俺、そんなことまで要求しねえよ。真雪」

「そう」真雪はにっこり笑った。

 龍も少し申し訳なさそうに言った。「わがまま言ってごめんね、夏輝さん。俺も、それだけ約束してくれたら、あとは何を要求されても平気だよ」

「で、でも……」夏輝が言った。「あたし、ゴムアレルギーなんだ」

「え? ホントに?」

「龍くんにそのまま入れて、出してもらえるつもりだったから、ゴムは一つしか持って来なかった。修平の分だけ。しかもラテックス製……」

「そうなんだ……」龍は困った顔をした。

「このコンドームも、」龍は枕元に置かれていた正方形のものを手に取った。「普通のラテックスだね。ポリウレタンの、買ってこようか?」

「今からか?」修平が言った。

 

 真雪がぽつりと言った。「なんだか盛り上がらないね」

 

「じゃ、じゃあさ、こうしない? 龍くん、あたしにそのまま入れて、高まったら直前で抜いてあたしにかけて」

「かける?」

「うん。そうしようよ。それがいい。そうすれば、龍くんがいっぱい出してるのも、見られるし」

「そうだな。龍、そうしてくれ。俺も見たい。おまえの発射」

「そ、それで良ければ……。でも、夏輝さんにかけてもいいの?」

「いいよ。全然平気。修平にもよくされてるし。いっぱい出す龍くんにかけて欲しい」

「そう……」

「やっぱり繋がったまま出したい? 龍くん」

「いや、大丈夫。そんなこだわりはないよ。夏輝さん抱けるだけで満足。でもぶっかけちゃうのは……」

「抵抗あるの? 龍くん」

「うん。かなり」

「へえ……」

「龍ってね、身体にかけたり、口でイかされたりするの、抵抗があるんだよ」

「どうして?」

 龍は頭を掻いた。「い、いっぱい出ちゃうから……」

「夏輝はな、」修平が言った。「中でイかれるのと同じぐらい、俺の出す液を見たり、掛けられたりするのが大好きなんだぜ、龍」

「そうなの?」

「うん。それに噂の龍くんの豪快な発射、この身で体験したいな」

「あたしもわかる。その気持ち。いつも体中に掛けられると、温かくてうっとりしちゃうんだよ」真雪が言った。

「体中……。そ、そんなに出すのか、龍」修平が言った。

「いやん、楽しみ。やってやって、龍くん」夏輝が嬉しそうに言った。

「やってあげなよ、龍。夏輝がそれで喜ぶんだったらやってあげるべきだよ」

「う、うん……わかった」龍はこくんとうなずいた。

 

「よし、そ、それじゃ、始めっか」修平がそわそわしたように言った。そして飲み干したビールの缶をソファの前のテーブルに置いた。「細かいことは、その時に」

 そんな修平を横目で見て少し口角を上げた夏輝が言った。「そうだね」


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