《greenroom talk~楽屋話》
『シンチョコ』は定休日。店の一画の喫茶スペースで、健太郎と春菜、龍と真雪は一つのテーブルを囲んでコーヒーを味わっていた。
「ケン兄、実の妹と一つになった感想は?」龍が言った。
「緊張した」健太郎はすでに赤面していた。
「真雪はどうだったの?」春菜が訊いた。
「あたしはけっこう余裕でリラックスしてたよ。それでもとっても熱くて素敵なエッチだった。でも、ケン兄って、最初は確かに緊張してたみたいだけど、盛り上がってくるともう、龍とびっくりするぐらい同じことやるんだ」
春菜が興奮したように言った。「え? ほんとに? すごい! 私も龍くんに抱かれてた時、ケンに抱かれてるって錯覚しかけてたよ。なんだかすごいね」
「うそだよー」龍があきれ顔で言った。
「うそじゃないって」真雪が言った。
「だってさ、セックスなんて、その度にちょっとずつ違う方法でやるもんだろ? 俺とケン兄が同じようなことするわけないじゃん」
「違うの、」春菜が言った。「キスの仕方とか、唇の柔らかさとか、」
「そうそう、」真雪も言った。「あたしもそう感じた。それにおっぱいを舐める時の舌の感触、クライマックスに向かって動く時の身体の揺らし方、」
「イく時の呻き声もそっくりだし、苦しそうにしてる顔の表情なんかもう、瓜二つ」
龍と健太郎は顔を見合わせた。「瓜二つ?」
「遺伝子は嘘つかないね」真雪が笑いながらカップを口に運んだ。
「で、龍、お前ルナと繋がってどうだったんだ?」
「ご主人様の俺はメイドのルナ嬢に痛めつけられ、手首を拘束され、寸止めで苦しめられた上に、一気にイかされた。もう強烈!」
「そうか。あれをやってやったんだな、ルナ」
「うん。ケンと反応はほとんど同じだったから、私もやり易かったよ、とっても」
「ケ、ケン兄もされたこと、あるんだ」龍が言った。
「ある。でも、何度もされたらまいっちまう。あれ、消耗が激しいからな」
「やっぱり?」
「でも、龍くん、恵まれてるね」
「え? 何が?」
「このおっぱいだよ、真雪の」春菜は身を乗り出して向かいに座った真雪のバストを着衣越しにつんつん、と軽くつついた。「ケンもすっかり虜になっちゃってるみたいじゃない」
「ケン兄は俺と真雪がつき合う前に、いくらでも触るチャンス、あったんじゃないの? それに」
「ば、ばか言うなっ!」
「もし、あたしがケン兄にこのおっぱいを触らせてたら、」真雪が健太郎を上目遣いで見ながら言った。「ケン兄はきっとあたしを押し倒して思いを遂げてたね」
「か、可能性はある……」健太郎が言った。
「触らせなくてよかった。あたしずっと前から、最初に捧げるのは龍だって決めてたからね」
「えっ?」龍は真雪の顔を見た。「そ、そうだったの? 初めて知った……」
「たぶん龍があたしを意識し始めるより前から、あたしそう思ってたよ」
「またそんな、嘘ばっかり」
「ほんとだってば。龍が中学に上がってすぐの水着姿を見て、墜ちた」
「マユ、おまえもうその時から龍に抱かれたいって思ってたのかよ!」
「たぶんね。あたしショタコンだからね」真雪は笑った。
「じゃあ、俺の勝ちだね」龍が言った。「俺、マユ姉が小学生の頃にはもう大好きだったもん」
「セックスしたいなんて思ってたの? 龍はさらに低学年だったんでしょ?」
「思ってた。俺、マユ姉といっしょに風呂に入ると、いつもどきどきしてて、まだ大きくなかったけど、そのおっぱいをずっと見てたからね」
「もう、二人ともラブラブだね」春菜が笑いながら言った。「龍くんがケンとちょっと違うなって思ったのは、何て言うか、ケンよりちょっとやんちゃが入ってるってとこかな」
「わかる、それ」真雪が言った。「ケン兄はずっと最後まで落ち着いてる。もちろん最後は激しくイかせてくれるけど、龍はちょっと攻撃的なところがあるよね」
「やっぱりそう?」
「春菜はそういうケン兄の紳士的なところが好きになったんでしょ?」
「うん。それは大きいと思う。私の身体を『慈しむ』、っていう表現が一番合ってるかな」
「龍は『楽しむ』って感じだね」
「そうそう。そんな感じ」
「それより!」真雪がいきなり大声を出した。
「な、何? どうしたの? 真雪」龍がカップから口を離した。
「ケン兄の指、凄まじいんだね、春菜」
「指?」龍が怪訝な顔をした。
「そう、真雪もイかされたんだね、ケンの指に」
「繋がって二人で激しくイった後、余韻を味わう暇も与えず、あたしだけまたイかされちゃったんだよ」
真雪は頬を膨らませて健太郎を睨んだ。
健太郎はにこにこ笑いながらコーヒーを飲んでいる。
「それを言うなら、」春菜が龍を睨み付けた。「龍くんだって」
「え? 何されたの? 春菜」
「抱擁で天国に連れて行かれた」
「抱擁?」健太郎がカップを口から離した。
「もうすごいの」春菜は身を乗り出した。「私も繋がり合って弾けた後、身体を抱かれただけで私だけまた登り詰めちゃったんだ」
「へえ、龍ってそんな特技があったのか」
「そう、もう大変なんだよ」真雪が言った。「龍に抱かれる時はTPOを考えないと大変なことになるんだから」
隣の龍は頭をぽりぽりと掻いていた。
「でもね、」真雪が右手の人差し指を立てた。「悔しかったから、あたしケン兄に仕返ししてやったんだ」
「仕返し?」春菜が言った。
「そう。これでね」真雪は自分のバストをつんつんと軽くつついた。
「そうか、真雪はケン兄にしてあげたんだね? あれ」龍がおかしそうに言った。
「あれ?」
「おっぱいで挟んでイかせてあげたんでしょ?」
「うん。ケン兄子どもみたいに真っ赤になって、思いっきり発射してくれたよ」
「気持ちいいでしょ? あれ」
健太郎は照れくさそうにうつむいた。「俺、出さないつもりだったけど、我慢できなくてぶちまけちまった。マユの胸に……」
「一度イったくせに、また大量にね」
「あれをやられて踏みとどまるのは難しいだろうね」
「でも龍は出してくれないんだよ。なかなか」
「そ、そうなのか?」
「気持ちいいけど、やっぱりいっしょにイきたいからね」
「そうだよな。俺もそう思う。出しちまった時には、めちゃめちゃ悔しかった。負けた気がした」
「何それ」春菜が呆れた。「あなたたちって、ほんとに変なことに拘るのね」
――the End
2015,02,01
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