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龍はデスクに向かっていた。目の前の電話の内線呼び出し音が唐突になり始めた。彼はすぐに受話器を耳に当てた。
「はい、編集二課」
『海棠、俺だ』
「あ、編集長」
『おまえ、今日はもう帰宅しろ』
「えっ? ど、どうしてですか?」
『今日は真雪ちゃんのバースデーだろ?』
笑いをこらえたような編集長の声に、龍は温かい気持ちになった。
「いいんですか?」
『前の花屋でバラのブーケでも買って、とっとと帰れ』
「ありがとうございます」
龍は受話器を置くなり、立ち上がって机の上を片付け、ロッカー室に急いだ。
◆
健太郎と真雪は下着姿になり、ソファで抱き合っていた。
「マユ、マユ……ああ、おまえが、おまえがほしい」
「ケン兄」真雪は泣きそうな顔で健太郎を見た。彼は何度も妹の唇をその口で覆い、舌を中に差し入れて真雪のそれと絡み合わせた。
口を離して真雪の目を見つめている健太郎の胸に手を当てて、真雪は目をそらし、小さく言った。「だ、だめなの、ケン兄、これ以上は……」
「マユ、一度だけ、この時間だけでいい、俺の想いをおまえに……」
健太郎は背中に回した手で、真雪のブラのホックを外した。
「あっ……」
ぷるんと白い二つの豊かな膨らみが露わになり、健太郎はすでに堅く隆起している頂点の粒をくわえ込み、舌先で転がした。
「ああ……ケン兄、ケン兄!」
真雪は身体をのけぞらせ、激しく喘いだ。
健太郎はずっと乳首から口を離すことなく、左手を真雪のショーツに忍び込ませた。そしてその潤った谷間に中指を潜り込ませ、ゆっくりと抜き差しした。
「あ、ああっ!」真雪はますます息を荒くしていった。
「もうこんなに濡らしてる……。俺を受け入れてくれるな? マユ」
健太郎は真雪の小さなショーツを脚から抜き、自分自身も穿いていた下着を脱ぎ去った。
全裸になった双子の兄妹は、また堅く抱き合い、唇を激しく重ね合わせた。
勤めている新聞社の道路を挟んだはす向かいにこぢんまりした花屋があった。龍は毎年恋人真雪の誕生日と、6月の自分と彼女が初めて一つになった記念日にはこの花屋で花束を買い、その愛する人にプレゼントしていた。
龍は赤とピンクのバラの花束を作ってもらい、足取りも軽く帰途についた。
龍は、真雪を驚かせようと、音を立てないようにそっと玄関のノブに手を掛けた。鍵はかかっていなかった。
ドアを開けた龍は、玄関に一足の男性用の靴がそろえてあるのに気づいた。
「あれ? 誰か来てるのかな……」
自らも靴を脱いで、奥にあるリビングの前に立った時、小さく男のうめき声と、ぴちゃぴちゃという水音が聞こえた。
「え?……」龍はドアの前で耳を澄ませた。
男の声が聞こえた。
「あ、ああ……マユ、いい気持ちだ……」
「えっ?!」
龍は表情を険しくした。
彼は意を決して、ドアに手を掛け、わずかに開けて、その隙間からリビングの中の様子をうかがった。
ソファに座った真雪が、前に立った男のペニスを咥え、唾液をしたたらせながら出し入れしていた。
「(ま、真雪!)」
龍は心の中で叫び、自分の目を疑った。
その二人は全裸だった。男の背中からヒップにかけてびっしりと汗が浮かんでいる。
フェラチオをやめた真雪に向かって、その男は身をかがめ、ゆっくりと深いキスをした後彼女に耳に囁いた。「ありがとう、マユ、気持ちよかったよ」
「ケン兄……」
「(ケン兄?!)」
龍の身体の中で熱風が吹き荒れ始めた。
「(ま、真雪とケン兄が……)」
「次は俺の番だ」
健太郎はそう言うと、真雪の背中を抱えて腰を前にずらした。そして両足を高く持ち上げ、床に跪いて彼女の秘部に顔を埋めた。
「んあっ!」真雪は大きくのけぞり、声を上げた。
ぴちゃぴちゃと音を立てながら健太郎は真雪の谷間と、茂みの入り口にある粒を舌で何度も舐めあげた。そのたびに真雪は身体をよじらせて喘いだ。
「だめ! だめなの、ケン兄、このままだと、あたし、あたしっ!」
口を離した健太郎は一声マユっ、と叫ぶと、我慢できないように彼女に覆い被さった。そして、熱くいきり立ったものを真雪の谷間に押し当てた。
「だめ! ケン兄、だめなの、ほんとにこれ以上は、ああああ……」
「マユ、俺、もう止められない、いくよ」
健太郎は低い声でそう言うと、ゆっくりと腰を押しつけ、ペニスを真雪の奥深くまで押し進めていった。
「ケン兄! ケン兄っ!」真雪は涙をこぼしながら叫んだ。
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